指導者として

成長

成長とは「できない」が「できる」になることです。

これには、目に見える成長と、目には見えない精神的な成長の両方があります。

目に見える成長というと、小さな子どもであれば身長が伸びたり、体重が増えたりといったことを想像するかもしれませんが、そういった捉え方はしておらず、身長が伸びることによって「届かなかった場所に届くようになった」とか、「登れなかった場所に登れるようになった」など、行動として「できなかったことが、できるようになる」これが目に見える成長です。

この目に見える成長は、できた瞬間さえ見逃すことがなければ、誰でも気づいてあげることはできます。

もちろん、できていないことを把握して、そこに意識を向けておく必要はありますが。

それでもサッカーに取り組む中で、練習やトレーニングを通して選手が「できない」ことを「できる」ようにしていくことが、僕たち指導者の役目だと思います。

「できない」事実に目を向けることは簡単です。

しかし、そこから「できる」という体験を与えるために何ができるか。

なぜできないのかを分析し、仮説を立て、働きかける。

環境を変えることもあれば、選手に直接影響を与えることもできるでしょう。

「できない」原因が人それぞれ違うので、その人や状況に応じた、たくさんの方法を用意しておく必要があります。

そして、サッカーだけを学ぶのではなく、他のスポーツや他の分野からも学べることはたくさんあります。

自立の記事で書いたとおり(自立)サッカーをプレーするのは人間です。

それを見てくれるのも、応援してくれるのも人間ですし、僕たち指導者も人間です。

世の中にはたくさんの「できない」があります。

仕事が「できない」勉強が「できない」恋愛が「できない」など。

これらの「できない」に対する様々な改善策は、全てサッカーの「できない」を「できる」へと変えるきっかけになり得ます。

当然、サッカーのプレーにおける一連の流れや(状況判断とは)技術に対する知識を深めておく必要もありますが、それらとは別の所に「できない」原因が存在する可能性だってあるのです。

だからこそ、学び続けることがとても重要です。

これは、精神的な成長でも同じことが言えます。

精神的な成長とは「できない」考え方を「できる」ようにするということです。

例えば、感謝できなかったのができるようになるとか、自信を持てなかった選手が自信を持てるようになるなど。

これは「感謝する」や「自信を持つ」といった考え方を「できない」から「できる」ように変えたということになります。

これが精神的な成長です。

ただ、僕たち指導者にとって、この精神的な成長というのは、見極めが難しいものになってきます。

例えば「感謝」を例にしてみます。

子どもがお爺ちゃんからお菓子をもらったとしましょう。

「感謝」できるようになってもらいたい親は、黙って受け取った子どもに対して「きちんとお礼を言いなさい」と伝えると思います。

子どもは「ありがとう」と言ってお菓子を受け取りますが、これで「感謝」できるようになったか、と聞かれるとどうでしょう?

確かに、「お礼を言う」という身体的な(行動としての)成長はできましたが、単純に「お礼を言う」という行動ができるようになっただけで、実際に「感謝」できているかどうかは分からないですよね。

だからこそ、いくつかの相手の言葉や行動を通じて、思考を感じ取る必要があります。

この感性を磨き続けるためにも、様々な分野から学び続けるということが重要になってくるのです。

もうひとつ、成長するための過程について説明します。

「知識」→「意識」→「無意識」大きく分けてこの3つの段階があります。

まずは「できないこと」と「できるようになるための方法」を知る、「知識」の段階。

そして、だんだんと意識すればできるようになっていく「意識」の段階。

意識してできるようになったものを、意識しなくてもできる状態(自然と染みついている状態)にまでする「無意識」の段階。

この「無意識」の段階まで到達して初めて「できる」ということになります。

つまり「意識すればできるけど、意識していないときはできない」というのは、まだ「できない」という状態であることを知ってください。

身体的にも精神的にも「無意識」レベルで「できる」ようにしていくことが「成長」となります。

繰り返しになりますが、そのために僕たち指導者は日々学び続けて、自分自身を成長させていく必要があるのです。

学ぶことをやめたら、教えることをやめなければならない。

フランス代表監督経験のある指導者 ロジェ・ルメール氏の言葉です。

胸に刻んでおきましょう。

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