攻撃の最も重要な原則「シュートを打つ」について、深掘りしていきます。
結論
まずは結論から述べます。
①ボールを奪ってから15秒以内
②ボールを奪ってから5本以内
③ペナルティエリア内
④2タッチ以内
ゴールが決まりやすいシュートの形というものは、ほぼこのパターンに当てはまります。
これで終了してしまっては少し寂しいので、それぞれについてデータを元に考えてみましょう。
15秒
ボールを奪ってから時間をかけずにシュートを打つと、ゴールの確率が上がります。
プレーしている選手の技術レベルによって確率は前後しますが、試合中のゴールのうち80%ほどが15秒以内に決まっています。
これはPKでのゴールも含めているので、流れの中からの得点という意味では、もう少し確率が低下してしまうかもしれませんが、ほぼ15秒以内でゴールが決まります。
少し考えれば当然のことなのですが、時間をかければかけるほど、相手の守備に参加できる人数が増えてしまうので、その前にシュートを打つことが大切です。
20秒以内で90%のゴールが決まっています。
5本以内
ゴール全体の90%ほどは、シュートに至るまでのパスが5本以内です。
これも理屈通りというか、当然のことなのですが、サッカーはミスが起きやすいスポーツです。
パスというプレーの回数が増えるたび、出して側も受け手側も、ミスをしてしまう可能性が増えていきます。
できるだけ手数をかけず、素早くゴールに迫ることが大切です。
ペナルティエリア内
ペナルティエリア内からのシュートによるゴールは、85%ほどを占めています。
こちらもPKによるゴールを含んでいるため、流れの中からのシュートという意味では、確率が多少前後してしまいますが、PKによるゴールを含んだとしても、ほとんどがペナルティエリア内からのシュートによって決まっています。
特に、ゴールエリアの幅を中央としたときに、中央からのシュートが80%、左右が約10%ずつとなりますので、ペナルティエリア内(特に、エリア内の中央)へどのようにボールを運ぶかが、重要になってきます。
2タッチ以内
2タッチ以内でのゴールは、全体の85%になります。
ダイレクトシュートが約55%(PK含む)、残りの30%が2タッチでのシュートとなり、3タッチ以内で考えると、ゴール全体の90%を占めています。
残りの10%が、ドリブルからのシュートというイメージですかね。
これもパスの本数と同じで、タッチ数が増えるほど、ミスをしてしまう確率が増えるので、できるだけ少ないタッチでシュートを打つことが、ゴールへの近道となります。
ロストフの悲劇
ご存じない方のために、一応説明しておきます。
2018年のロシアW杯決勝トーナメント、日本対ベルギー戦。
タレント揃いで優勝候補と目されていたベルギーを相手に、前半を0-0と善戦し、後半に入ってから2点を奪った日本。
このまま強豪を相手に大舞台で大金星を挙げるかに思えたが、その後追いつかれてしまい、後半アディショナルタイム。
日本がコーナーキックを蹴ってから14秒後に決勝点となるゴールを奪われ、日本は敗れ去りました。(ロストフの14秒とも)
今回ここで取り上げたいのは、この決勝点となったゴールが、決まるべくして決まったゴールだからです。(該当箇所 3:53~)
最初の結論で述べたとおり、4つのポイントに沿って見ていきます。
時間
日本がコーナーキックを蹴ってから14秒。
キーパーがボールをキャッチしてからだと、12秒ほどでシュートを打っています。
パス
シュートに至るまでのパスは、キーパーから始まって3本です。
キーパーが中央の選手に(スローでパス)→中央の選手がドリブルしてサイドの選手に(パス)→サイドの選手がゴール前へ(パス)→ゴール前の選手がシュート。という流れです。
場所
最終的にシュートを打った地点は、ペナルティスポット付近。
先ほどの説明で言うと、ペナルティエリア内中央からのシュートでした。
タッチ数
サイドから中央へのパスに対し、ダイレクトでシュートを打っています。
サッカーにおけるゴール全体の、半数以上はダイレクトシュートによるものでした。
結果的に、この決勝点となったゴールは、ゴールが決まりやすい4つの形、全てを満たしているシュートなので、決まるべくして決まったゴールだと思うわけです。
むしろ、点数を取るために、原則に則ったプレーをしたベルギーの選手達が、素晴らしいと思います。
4つのポイントを意識した上で、ぜひ動画をご覧になってみてください。
逆に・・・
スーパーゴール集などは、これに当てはまらないことが多いです。
相手に一度も触られずにパスを繋いで決めるゴールも、目の覚めるようなロングシュートも、ドリブルで何人もかわして決めるゴールも、基本の形に当てはまらないからこそ、スーパーゴールと言われるわけです。
しかし、そういったスーパーゴールが生まれるほかに、たくさんのゴールが基本の形で生まれています。
どのゴールも同じ1点ですので、スペシャルな選手がいなくても点を取れるような、チームとして攻撃の形を作る際の参考にしていただければ幸いです。